@ 入射角 (AOI)
入射光とグレーティングの法線のなす角度です。下図を参照下さい。
A ダメージ閾値
恒久的な表面状態の変化を引き起こす閾値として定義されます。値は、J/cm2またはW/cm2を使って表記され、パルスエネルギー・パルス時間・パルス繰り返しレート・波長等に依存します。波長範囲
800〜1100nmのナノ秒パルスの場合、予想されるダメージ閾値は、0.9 J/cm2または73W/cm2です。波長範囲
800〜1100nmのフェムト秒パルスの場合、予想されるダメージ閾値は、0.25 J/cm2です。
B 偏向角
入射光αと−1次回折光βのなす角度(θ)で、θ°=|α°−β°|です。
C 回折次数
多くのアプリケーションにおいて、ある一つの次数の回折光のみが使われます。従って、すべての回折光が、ある一つの次数の回折光であるのが理想で、その場合、絶対効率が100%になります。モノクロメータ、スペクトログラフ、スペクトロメータにおいては、通常、−1次回折光が使用されます。回折次数やエネルギー損失を最小にするために、弊社のグレーティング設計ツールが利用できます。
D 分散
角度分散は、波長の単位変化あたりの回折角度の変化量です。角度分散があることで、隣接波長の光の分離が可能になります。溝本数の大きいグレーティングを使用するか、高い次数の回折光を使用することにより、大きな角度分散が実現できますが、一般的には、自由スペクトル領域が大きい、溝本数の大きいグレーティングの方が好まれます。
E 効率
絶対効率は、入射光が、ある次数の回折光にどのくらいの割合で回折するかで、定義されます。一方、相対効率は、グレーティングと同じ材質でコーティングしたミラーの反射率と比較した、相対的な値です。従って、相対効率は、常に絶対効率よりも大きくなります。
F リトロー配置
所望の波長の光が、入射光と同一方向に回折されるように、グレーティングはマウントされます。グレーティングを回転させることによって、波長をスキャンさせることができます。通常、グレーティングの広い範囲にビームがあたるように、共振器内にアクロマティックレンズを配置し、ビームを拡大します。0次回折光は、出力レーザー光として使用されます。しかしながら、グレーティングを回転させたとき、出力光の向きが変化するという短所があります。
G グレージング入射
グレーティングは、入射角度が大きくなるように、固定されます。そして、特別調整ミラーを回転させることによって、波長が調整されます。ビームを拡大するレンズは必要ありませんので、よりサイズの小さいグレーティングを使用することが可能です。しかしながら、入射角度が大きいことは、グレーティングの切り溝の幅を、溝の長さより、かなり大きくする必要があることを意味します。
H 偏光
グレーティングの効率は、通常、入射光の偏光状態に依存します。従って、偏光状態の明示が必要です。TM偏光は、電界ベクトルが、グレーティングの溝方向に垂直であることを意味し、P偏光に対応します。TE偏光は、電界ベクトルが、グレーティングの溝方向に平行であることを意味し、S偏光に対応します。 (TM+TE)/2は、非偏光を意味します。
I 正弦波プロファイルグレーティング
標準タイプのグレーティングは、2光束干渉により作製され、正弦波プロファイルの溝形状を持ちます。その効率曲線は、切り溝型のグレーティングに比べて、なめらかで平坦です。溝の深さを適切に選ぶことにより、特定波長領域での効率を、最適化することができます。また、回折格子の溝本数を大きくすることで、高効率を保つことができます。溝の間隔を波長の約1.25倍より小さくすることにより、−1次光と0次光のみを存在させることができます。さらに、溝の深さを最適にすることで、ほとんどの回折光を−1次光にすることができます。こうして得られる回折格子の絶対効率は、50%を大きく上回ります。
J 迷光
光学機器の検出限界は、機器内のグレーティングおよび他の光学部品からの迷光レベルに依存します。ホログラフィックグレーティングは、波長領域における迷光レベルが低いこと、およびゴーストが存在しないことで知られています。干渉露光により、グレーティングの溝間隔を高精度で一定に作製できるからです。一方で、ホログラフィックグレーティングの迷光源は他にもあり、その迷光レベルは、作製プロセスの違いによりかなりの違いが生じます。一般に、ホログラフィックグレーティングの迷光レベルは、切り溝型のグレーティングより、ずっと小さいのですが、作製プロセスのさらなる改良の結果、スペクトロゴン社ホログラフィックグレーティングの迷光レベルは、他社のホログラフィックグレーティングに比べて、10倍ほど低い値になっています。ダブルパスの分光器では、波長の精度に100倍の差が生じます。
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