Ti:Sapphire結晶 (チタンサファイア結晶)
高性能レーザ用 HEM引上げ法
GT Advanced Technologies社は、業界で最大のSapphire結晶、
光散乱の少ないSapphire結晶を1971年から製造しています。
ユーザー仕様に合わせて、吸収率0.6〜10+/cmの間で製作致します。
結晶成長から研磨加工まで、各工程での慎重な品質管理により、
最高性能のTi:Sapphireレーザロッドの製造を実現しました。
GT Crystal Systems社のTi:Sapphire結晶は、当社特有の熱交換
方式(HEM)で最適な90°方位に引上げ、特性を極限まで高めました。
環境を低圧に制御し、Ti
3+
イオンの安定性を向上させ、散乱を最小に
抑えて高いFOM値を有するTi:Sapphire結晶を供給しています。
レーザロッドは成長方向に対して垂直にドリルで削り出す為、分晶作用による
Tiの濃度のバラつきを最小に抑える事が出来ます。
FOM値はドーパント濃度(α490)により変化します。
典型的なHEM Ti:Sapphireのα490範囲は、0.6〜6.0/cmで、
低いTi濃度における寄生(Parasitic)吸収(α800)は、検出不可能な位に低いです。
HEM引上げ法では、固体・液体の境界面は溶融表面の下に沈む為、
境界面において均一な温度勾配になります。これにより、高い効率の
レーザ発振に最適な高品質Ti:Sapphire結晶の引上げが可能になりました。
■ 特長
高いメリット数(FOM)
低いレーザ発振閾値
バルク内散乱が低い
高いダメージ閾値
結晶方位誤差が低く、高い研磨加工精度
■ 用 途
Ti:Sapphire結晶は、チューニング(波長選択)可能な固体レーザ
媒質です。
この媒質は、Ti3+による広いチューニング範囲(660〜1200nm)と
サファイアの優れた温度、光学・物理特性を兼備えています。
励起帯域が広い(400〜600nm)ので、グリーンレーザ光源や、
フラッシュランプによっても励起可能です。
Ti:Sapphireは、その赤外チューニング帯域で動作の他、分光や
高出力アプリケーション用に短パルス(ピコ秒〜フェムト秒)レーザ光も
定常的に発生します。
CRYSTAL SYSTEMS社の高品質Ti:Sapphire結晶は、
チューニング範囲間のレーザ発振、短パルス発振、フラッシュランプによる
励起などが可能です。
ブリュースターカット結晶方位
■ 物質特性
化学式
Ti
3+
:Al2O3
結晶構造
六方晶系(斜方面体晶系)
単位格子
a=4.758Å、c=12.991Å
濃度
3.98g/cm
3
硬度
9mohs、1525-2000 Knoop
融点
2040℃(基準)
■ 熱特性
熱伝導率
0.105cal/cmsec-℃
熱膨張
8.40 x 10
-6
per ℃
比熱
0.10cal/g
熱容量
18.6cal/℃-mole
■ レーザ特性
レーザ動作
4段階バイブロニック
吸収帯域
400-600nm(490nmで最大)
チューニング範囲
660-1200nm(800nmで最大)
蛍光寿命
3.2μs
最大断面積
3-4x10
-19
cm
2
屈折率
1.76(標準)
■FOMについて
GT Crystal Systems社では、Ti:Sapphire結晶のレーザー特性が最大限に引き出せる=高いFOM(Figure of Merit)値の結晶を提供できるようにHEM法はデザインされています。
同社では、結晶加工後、実際に以下の測定をベースに、
FOM値を測定しています。
FOM:
α@ 514nm
α@ 800nm
■吸収/蛍光
Ti:Sapphireレーザーは通常、π偏光で使用されます。
吸収/蛍光スペクトルは右図参照。
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